ギター好きなら絶対知っておくべきギターメーカー(ギブソン編:その2)

エレキギター

この記事は全2回中2回目です。  (その1)を読む

不遇のノーリン時代

1960年代後半のレス・ポール復活でエレキギターでのシェアを回復させるかに見えたギブソンでしたが、結局波にのれず1969年にECLという南米のビールやセメントなどを取り扱っていた企業に売却されます。折角いい調子になってきたのに残念・・・。

このECLは質より量路線をギブソンに求めたため、70年代から80年代にかけては、フェンダーと同様に徐々に売り上げを落としていきました。

悪化する業績

ECLは後に社名をノーリンと改めたため、このころのことを俗にノーリン時代と言います。ギブソンのノーリン時代はフェンダーのCBS時代と同じく、暗黒時代と言われることが多いようですね。

ノーリン・ギブソンもCBS・フェンダーも当時生産されたものは酷評されることが多いですが、何も全部が全部悪かった訳ではありません。品質管理の体制が悪かったために、製品の個体差が思いっきり大きくなっていたのです。つまり、中には良いギターもある、ということです。中古品でそんな掘り出し物のギターを見つけるのも何だか面白そうですね!お金は無いですけどね!

木材の枯渇に苦しむ

また、それに加えて木材の枯渇が発生し、苦境のギブソンをさらに窮地に追い込みます。当時既にマホガニー、ローズウッドなどの楽器向け木材は良質のものが枯渇してしまっており、50年代のような品質のものは作れなくなっていたのです。自然破壊キター( ;∀;)

フェンダーはボディ材に入手しやすいアルダー材やアッシュ材を使用していたので、影響は最小限でしたが、ギブソンは影響をまともにくらったのです。

ギブソンの愛好者は多い

ノーリンからの脱却

主力製品であったレスポールは、そのパワフルさのおかげで主にハードロック系の人たちに人気があったのですが、70年代後半くらいからはヘヴィメタル勢が台頭し始め、彼らはトレモロアームを装備したストラトタイプのギターを好む傾向へと変化していきました。

音楽シーンも多様化し、パワフルさが前面に出てしまうレスポールよりも、オールラウンダーなストラトタイプの方に人気が集まったのです。(ストラト本家のフェンダーはシェアを落としていましたが・・・)確かにレスポールはガツーンと弾く感じで、軽快でポップなリフを弾いているイメージはあまりありませんもんね。

さらにそこへ、米国経済の低迷や日本製の安価なコピーモデルの登場などの逆風が吹き、ギブソンの経営は非常に厳しい状況に立たされることになったのです。

しかし、1986年にヘンリー・ジャスキヴィッツ氏を中心とした共同経営グループに買収されたことで、堅調な会社運営となって徐々に業績を回復させ、90年代には再びフェンダーと肩を並べる巨大企業へと復活を遂げます。

なお、ギブソンはフェンダーに比べてコピーモデルに対して厳しい姿勢を取ることが多く、コピーモデルを販売しているショップには自社の製品を卸さないという方針を示した(現在は改善)ことがありました。

一時は多くの店からギブソン製品が消えた

また、コピーモデルを作っている会社を訴えたりしたこともありました。ただ、昔のギブソンは寛容なのかユルいだけなのかわかりませんが、コピーモデルを黙認していた時期があったのです。そのため、昔は黙認していたのに、後になって権利を主張しだしても、もう遅いという理由で却下されています。

コピーモデルとは言えないかもですがポール・リード・スミスに対しても同様の訴訟を行っており、「両者のギターを見間違うのはアホだけ」と言われて敗訴しています。まあさすがにPRSのギターが「コピーだ!」なんて言ったら、シングルカッタウェイのアーチトップのエレキギターなんかどこも作れなくなりますよね。ギブソンさん、これはちょっと無理筋だったようです。

フェンダーはこういう感じの事はあまりしないんですよねー。しても、理性的に反応する感じで感情的なギブソンとは対照的ですね。

慢性的な木材不足

ただ、近年になっても木材の調達には苦労し続けているようで、2011年には絶滅危惧種の木材を違法に輸入したとして当局の指摘を受け、木材を差し押さえられたり罰金を支払ったりするような事態にもなっています。

木材の確保に苦労したギブソン

レスポールのボディ材であるマホガニーは、段々と重いものしか手に入らなくなったために、2008年モデルからは大幅に内部をくり抜いたチェンバード構造になり、さらに2012年モデルからは不評のチェンバード構造を見直してモダン・ウェイト・リリーフと呼ばれるものに変更しています。まあこれも好評とは言い難いものでしたが・・・。

又、ローズウッド指板も一時期入手しにくくなっていたようで、メイプルの表面を焼いて色を付けたベイクド・メイプル指板を採用するなど、かなり苦慮していることを思わせる跡が見受けられます。

事実上の倒産

上記のように、21世紀に入ると再び本業のギター製造で苦戦するするようになります。そこで、経営を安定化させるために、音響機器メーカーのティアックを子会社化するなど事業の多角化に乗り出しますが、結局波に乗ることはできませんでした。

また、本業のギター部門でも、2015年モデルからはオートチューニング機能を持つG FORCEを搭載するなどの工夫も見受けられますが、やっぱりこれもイマイチ不評。

何とか状況を打開しようとして、ギター部門は高機能化と高価な木材を使う路線に進むもグループ全体を支えるには至らず、ついに2018年には事実上の倒産となり、長くトップを務めてきたヘンリー・ジャスキヴィッツ氏も退任となってしまいました。

2018年が一つの区切りとなったギブソン

現在は再生の途上

その後、リーバイスでブランド責任者を務めていたジェームズ・カーレイ氏をCEOに迎え、新経営陣の元で再生を図ります。

2019年には、ギターの商品ラインナップを一新。伝統的なモデルを中心とした「オリジナル・コレクション」、現代的な仕様の「モダン・コレクション」、匠の技を結集した「カスタムショップ」の3本柱が中心となっています。

あくまでも、私の主観ですが、ギブソンは2019年を境にギターの音が良くなってきたように思います。倒産するまでは、商品の方向性が一貫せず、迷走していたイメージがありますが、2019年以降は地に足を付けてギター製造を行っているように感じるのです。

2023年には、セザール・グイキアン氏がCEOとなり、この頃には概ね体制の再生は出来たのかなと思います。色々と紆余曲折はありましたが、これからもギターメーカーのトップとして、良いギターを作り続けて欲しいですね!

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