ストラトキャスターのボディデザインに著作権保護。今後コピーモデルはどうなる?

エレキギター

フェンダーがドイツでの訴訟で勝利

2026年3月9日、フェンダー社がドイツ・デュッセルドルフ地方裁判所の判決により、ストラトキャスターのボディデザインに対する著作権保護が認められたと発表しました。

これにより、ストラトのボディ形状のギターをドイツおよびEU域内で製造・販売・流通する行為に対して、フェンダー社が法的措置を講じる権利が認められたことになります。また、どこの国で製造されたかに関わらず、侵害製品がドイツまたはEU域内向けに販売された場合には責任が成立することも確認されました。

中国企業に対する訴訟だった

今回の訴訟は、中国のYiwu Philharmonic Musical Instrumentsという会社がストラトのコピーモデルをドイツ向けのアリエクで販売していたことに対するもので、直接的にはこの会社のコピーモデルに対し、ドイツ・EU域内での販売を禁止するものであり、直ちに全てのストラト・コピーモデルの販売が出来なくなるわけではありません。

ただ、これまではヘッドの形状が違えば、ボディのデザインはコピーでもOK的な風潮があったので、今回の判決はコピーモデルのメーカーにとっては慎重な対応が必要になってきそうです。

コピーモデルを製造しているメーカーは多い

1970年代ごろから、日本でフェンダーやギブソン製品のコピーモデルが多く出回り、それがまた本家の2社が品質を落としていた時期と重なったために、かなりの数のコピー製品が売れることになりました。フジゲンやトーカイ、グレコなどの日本のメーカーは、パッと見はストラトやレスポールにしか見ないギターを販売していたものです。

もちろん、日本製コピーモデル全盛期にもフェンダー&ギブソンはこれらのコピー製品に対して訴訟を起こしていましたが、ギブソンは「長年黙認してきたのに今さら訴えても遅い。」という理由で敗訴。フェンダーはトーカイに対する訴訟には勝訴するも、結局日本製コピーモデルを駆逐するよりもライセンスを与えてフェンダー・ジャパンとして販売する方が得策、という判断をしました。

その後も、ヘッド形状さえコピーしなければ、コピーモデルの生産は黙認される状況となり、現在でも多くのギターメーカーがストラトやテレキャスター、レスポールなどのコピーモデルを生産・販売しています。

ストラトキャスター以外にも波及するのか?

恐らくするでしょう。フェンダーの他のタイプのギター、テレキャスターやムスタング、ジャズマスター、プレシジョンベース、ジャズベースなどは同様の判断をされるでしょうし、ギブソンのレスポールやSG、ES-335なども多分対象とされると思います。

このためか、キョーリツコーポレーションは安ギターブランドであるフォトジェニックを一旦ラインナップから外しています。他にも似た対応を取るメーカーが増える可能性がありますね。

もうコピーモデルの生産は出来ないの?

現状は、ドイツ及びEU域内が対象となっているだけですので、その他の地域ではこれまでと変わりません。ですので、直ちにコピーモデルの生産を止めないといけないという事はないと思います。それに、著作権を認められたと言っても、そっくりなものはアウトとしても、少し変更を加えればOKなのか、その辺りの線引きもあいまいです。

販売量的な問題もあります。大々的に大量に販売すればアウトでしょうけど、個人工房で製作しているものまで対象となるのか、という問題もありますし、まずはどうなるのか様子見をするしかない、というのが実際のところでしょうか。

いつまで著作権が保護されるのか?

今回の発表では、著作権が認められたという事ですので、ストラトの発明者であるレオ・フェンダー氏個人の著作権が認められたという解釈が成り立ちそうです。なぜなら、フェンダー社の著作権とした場合は、保護期間が公表後70年とされているので、1954年に発売されたストラトキャスターの著作権は既に切れていることになります。

レオ・フェンダー氏の著作権とした場合、著作権は権利者の死後70年が有効としている国が多く、氏が1991年に死去していることから、2061年まで保護されると言うことになります。

また今回の判決の内容がもし、全ての国に波及するような話に発展すれば、国ごとに著作権の保護期間が異なるので、少々ややこしい話になりそうです。例えば中国では50年とされているようですので、2041年までと割と近い将来に保護期間が終了することになります。

恐らくそこまで大きな話にはならない

フェンダーは全てのストラトタイプのギターが悪であると言っているわけでは無く、今回のプレスリリースの中でも、「今回の判決はギター業界におけるイノベーションや健全な競争を制限するものではなく、むしろ明白な侵害事例に対する的を絞った執行であり、独創性、新しいデザイン、創造的な進歩を引き続き支援するものである。」と述べています。

実際問題として、これまでのデザインと明確に異なる新しいコンセプトのギターというのは、なかなかユーザーにすんなりとは受け入れられないという現状があります。

今回訴訟を起こした当のフェンダーでさえ、新モデルであるメテオラを軌道に乗せるのには一苦労したようですから、フェンダーより弱小メーカーが新しいコンセプトのギターを販売してヒットさせるのは、かなり高いハードルと言わざるを得ません。

なので、四角四面に厳しく「コピーはダメ!」って言ってしまうと、中小のメーカーが生き残れなくなり、結果的に業界全体が縮小してしまうことにもなりかねません。

恐らく、今回の中国メーカーは「やりすぎた」のでしょう。フェンダーも業界の縮小などは望んでいないでしょうから、ちゃんとオリジナルに対するリスペクトがあれば、そこまでうるさくは言わないと思います。(希望的観測ではありますが・・・)

万が一、厳しく規制される状況になったとしても、個人的にはヤマハのパシフィカなんかは一つの指標になりそうな予感がします。パシフィカは確かにストラトタイプのギターではありますが、オリジナル要素もちゃんとあるので、単なるコピーモデルとは言えないと思います。もし、パシフィカがOKとなるような風潮が出来上がれば、おおよその基準が分かるようになんるんじゃないかなと思いますね。

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