伝説のギタリスト、軍をクビになる
ストラトキャスターをまるで自分の体の一部のように自在に操るプレイで、ロック・ギター界に革命的な旋風を巻き起こしたジミ・ヘンドリックスが、ワシントン州シアトルで誕生したのが1942年11月27日のことでした。

彼は子供の時からヴァイオリンやピアノを弾いていたらしいですが、ギターを初めてプレイしたのは15歳のとき。ただこの時はすぐに飽きてしまったようで、本格的にギターにのめり込むのは、少し後にチャック・ベリーに興味を持つようなってからだったようです。(チャック・ベリーと言えばバック・トゥ・ザ・フューチャーの「Johnny B. Goode」を思い出しますね!)
当初はスープロという通信販売でも買える廉価ブランドのギターを使用していたのですが、このスープロが盗まれてしまった為に、父親に頼み込んでダンエレクトロのギターを買ったもらったというエピソードもあります。
1961年に軍に志願して入隊しますが、訓練中の負傷のために62年に除隊。ただ、2005年にアメリカ国内で公表された軍内部の記録によると、ジミは薬物やギターにしか興味を示さず、常に隊の規律を乱して問題視されていたらしく、それも除隊の一因となったようです。ただまあ、やっぱりジミに軍人は向かない気がしますよねー。
軍を辞めたジミは、同じ部隊にいたビリー・コックス(後のバンド・オブ・ジプシーズのベーシスト)と共にバンド活動を始めます。
ビリーとはほどなくして別れますが、ジミはアメリカ中を転々としながら様々なバンドに参加し、64年に当時人気の高かった”アイズレー・ブラザーズ”のギタリストに迎えられます。しかし、このバンドも一年もしないうちに脱退。

続いてリトル・リチャードのバンドにも参加しますが、これもリチャードとウマが合わずに辞めてしまいます。どうやら、派手なプレイスタイルのジミに対して、リチャーズが「オレより目立つな!」と怒ったらしいですね。どうやらジミは人の指示に従うことが苦手だったようですね。
他人のバンドに参加するのに懲りたジミは、66年にニューヨークで自分のバンド、”ジミー・ジェームズ・アンド・ザ・ブルー・フレームス”を結成。
当時既にニューヨークのミュージシャンの間ではジミのプレイがかなり評判になっており、これを聞いたアニマルズのチャス・チャンドラーが彼に目を付けます。チャンドラーは66年9月にジミをロンドンに連れていくのですが、これがジミ・ヘンドリックス伝説の始まりとなるとは、まだ本人でさえも思っていなかったでしょうね。
ところで、ジミはミュージシャンでありながら、楽譜が読めなかったそうです。練習もあまりしない。なのに素晴らしいパフォーマンスを見せる。まさに天才。いくら練習してもさっぱり上手くならない私からすると、なんともうらやましい話です・・・。
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの誕生
ロンドンに着いたジミはすぐさまメンバーを探し始め、オーディションでノエル・レディング(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラム)を採用、”ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス”が爆誕します。

最初のシングル「Hey Joe」(66年12月)を皮切りに「Purple Haze」(67年3月)、「The Wind Cries Mary」(67年5月)など立て続けにヒットを飛ばし、さらに67年5月には1stアルバム「ARE YOU EXPERIENCED」をリリースしてツアーを展開するなど、着実にイギリスでの人気を不動のものにしていきます。
・・・ホントにこの人、練習嫌いなの?
ギターは燃やすものではありません
渡英からわずか1年足らずで成功を収めたジミは、67年6月にアメリカに凱旋し、野外ロックフェスティバルのモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演。ここで、聴衆のド胆を抜くパフォーマンスを見せます。
ザ・フーの後に登場したジミは、ギターをブチ壊しただけでなく、ライターのオイルをぶっかけて火を放つという、超エキセントリックなステージを披露したのです。(吉川晃司さんが1985年の紅白でやったのは、コレのオマージュ)

単にステージ上で大暴れしただけなら、キワモノ扱いされてすぐに話題から消えてしまうのですが、ジミの音楽にはそれまでとは全く異なる斬新さがあり、さらにそれが非常に高い演奏技術によって裏打ちされていました。このステージをきっかけに、アメリカのファンのハートをがっちりと掴み取ったジミは、一気にスターダムを駆け上がります。日本でこういことをすると、厳しく叱られてそれでおしまい、ということが多いですが、こういうところはアメリカの懐の深さを感じますね。
その後はアメリカを拠点として活動し、67年暮れの2ndアルバ「AXIS:BOLD AS LOVE」に続いて、68年には3rdアルバムの「ELECTRIC LADYLAND」をリリース。この3rdアルバムはジミの最高傑作と言われ、曲、サウンド、ギターワークのどれをとっても完璧と評されています。
ジミヘンの入門向けアルバムとしては「ARE YOU EXPERIENCED」のほうが個人的にはオススメですが、やはり最後には「ELECTRIC LADYLAND」のほうに行きつくはずですよ。
(その2)に続く


コメント