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最強ロック・トリオも長続きせず
第2期”ジェフ・ベック・グループ”が絶好調であったのにもかかわらず、ベックはあっさりとこのバンドを解散してしまいます。ベックの怪我によって一度は立ち消えになっていた、カーマイン・アピスとティム・ボガートとバンドを組む話が、ここにきて復活したからです。
そして72年に”ベック・ボガート&アピス”(BBA)を結成。翌年にはアルバム「Beck Bogert & Appice」を発表します。このバンドは、クリーム以来の最強ロック・トリオと言われましたが、クリームが互いのエゴがぶつかり合って解散してしまったのと同様に、このバンドも内部紛争がきっかけで分裂してしまいます。
ホントにバンド組んだと思ったら、すぐに解散するなぁこの人・・・。
実は、ベックは雑誌のインタビューでこんな事を言っています。
俺がボスであるなら、それで良いんだ。従うか、やめるかのどちらかってわけ(笑)。
ローリングストーン誌
なるほど、そりゃすぐ解散する訳だ・・・。 ┐(´д`)┌

エレキギターの聖典「Blow by Blow」
その後、紆余曲折を経てベックは再びソロ活動をスタートさせます。(そうそう、その方がイイ)このソロ活動で新たに取り組んだのが、エレキギターのインストゥルメンタル。もちろん、それまでにもアルバムにインスト曲は入れていましたが、今度はアルバム全曲をインスト曲にするというチャレンジを行ったのです。
そして製作されたのが、「Blow by Blow」(75年)。フュージョン色を強く打ち出したこのアルバムは、何と全米で100万枚以上という、エレキギターのインスト・アルバムとしては異例中の異例ともいえる売り上げを記録します。
その次にリリースした「WIRED」(76年)も大ヒット。
このアルバム2作は、ジェフ・ベックのソロ活動を代表するアルバムとなっていますね。
80年代~90年代は沈黙
その後は、表舞台から遠ざかる傾向になり、85年の「FLASH」には旧友ロッド・スチュアートが参加して話題になったりもしますが、どうにも内容的に低調な感じは否めず、パッとしない状況が続きます。
89年の「Guitar Shop」では、グラミー賞の最優秀ロック・インストゥルメンタル賞を受賞するなど、健在ぶりを示すこともありましたが、セールス的に期待外れに終わってしまい、その後はまた沈黙してしまうことになります。
ビッグ・タウン・プレイボーイズとのコラボレーション作に参加するなどの音楽活動は行っていましたが、自身のオリジナル作品を発表することはなく、一時は引退説すら流れたこともありました。

私の意見としては、当時もしも彼が積極的に活動しようとしていたとしても、やはり大きな成功は得られなかったんじゃないかと思うのです。ベック自身も当時の音楽業界に失望していたと語っているように、時代の空気が彼に合わなかったんだと思います。
当時の音楽業界はマイケル・ジャクソンやマドンナに代表されるようにポップ全盛時代。ロックシーンでもLAメタル勢やボン・ジョビなどの派手なパフォーマンスがウケた時代でした。そこにベックのような世代の人たちは疎外感みたいなものを感じたんじゃないでしょうか?私はなんとなくそう感じます。
1999年に再始動
そんな中、突如約10年の沈黙を破って発表されたオリジナル・アルバム「Who Else!」(99年)では、MIDIギターにジェニファー・バトゥン(マイケル・ジャクソンのバックバンドにも参加した女性ギタリストで、タッピングの名手。)を起用し、打ち込みを多用したテクノサウンドを取り入れた現代風な音に変化。
翌年にはさらにその路線を進化させた「You Had It Coming」を発表します。そして、2003年には自身の名を冠した「Jeff」をリリース。この3枚のアルバムはテクノ3部作とも呼ばれていますね。ジェフ・ベックがテクノとか、マイケル・ジャクソンが演歌を歌うような感じ(そこまでではないかw)がしないでもないですが、当時は驚かれたものの、概ね好評だったようです。
それにしても、ベックの新しいことに挑戦する姿勢は、私は素晴らしいと思います。テクノ3部作を発表した時のベックは50代後半。その年齢で自分の仕事に新しい要素を取り入れるのは、簡単なことではないと思います。しかも40年近いキャリアを積んできているのですから、頭が固くなってもおかしくありませんからね。彼のこういう姿勢は、私も見習いたいと思います。

2006年には世界ツアーを展開するなど、90年代の沈黙が嘘のように精力的な活動を行うようになります。2016年には、彼の最後のアルバム「Loud Hailer」をリリース。
2023年、細菌性髄膜炎によってこの世を去ります。享年78歳。最晩年はコロナ禍で活躍の場が少なくなってしまい、彼も残念な気持ちだったでしょう。でも、今でもきっとあの世でライブをやって、天国を盛り上げてくれているはずですよね。
ジェフ・ベックの使用ギター
ベックの使用ギターと言えば、ギブソン・レスポール”オックスブラッド”と、ホワイトカラーのフェンダー・ストラトキャスター”アヌーシュカ”が有名です。テレキャスターやエスクワイヤーを使用していた時期もありましたが、やはりこの2機種がジェフ・ベックの定番。
これに加えて、ヤードバーズ時代に使用していた59年製レスポール・スタンダード”ヤードバースト”も広く知られています。
大まかに言って、レスポールは「Blow by Blow」の頃までのメインギターで、「WIRED」以降はストラトがメインとなっているようですね。
ただ、フェンダーのストラトに関してはベックのシグネチャーモデルが常時販売されていますが、ギブソンのレスポールについては、ごくたまーに限定品として製造される程度で、なかなかに入手困難です。もし、中古で見つけたらゲットしたいところですね~。きっと超高いだろうけど・・・。(苦笑)
高難度のプレイスタイル
ベックのプレイスタイルですが、フィンガーピッキング主体で、アーミングを多用しながら、ボリューム奏法によって音の角を丸め込んでいるのが特徴的。
ハーモニクス、タッピングなども非常にハイレベルで、もはや並みのギタリストではおいそれと真似することも出来ない卓越したテクニックを用いて演奏しています。常に新しい音を目指してチャレンジし続けた「孤高のギタリスト」、ジェフ・ベックはやっぱり凄いですね!


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