エレキギターを弾く人にとって、アンプは絶対に無視できない存在です。これがないと音が出ないわけですから、当然ですよね。以前、自宅練習用アンプについて書いたことがありますが、やはりエレキギターは大きな出力のアンプを使うのが本来の使い方です。ということで、今回はギターを弾くなら、知っておくべき定番のギターアンプについて語ってみますね。
定番メーカーは元ドラム専門ショップ
ギターアンプと言えば、真っ先に頭浮かぶのがマーシャル製アンプという方は多いはずです。テレビの音楽番組やライブ映像でも、しょっちゅうマーシャルのアンプが映ってますよね。

現在のエレキギター関連の有力メーカーの多くはアメリカ企業ですが、アンプの有力メーカーであるマーシャルはイギリスで創業された会社。
元々はドラム専門のショップとして創業者のジム・マーシャルが1960年に立ち上げたのですが、ジムはそれ以前からドラム教室の教師としても活動していて、そこにはミッチ・ミッチェル(ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス)、ミッキー・ウォーラー(リトル・リチャード、ジェフ・ベック・グループ)など後に有名になるドラマーが何人も通っていました。
そしていつしか、ドラマー達が自分のバンドメンバーをジムの店に連れてくるようになり、その中にはピート・タウンゼントやリッチー・ブラックモアなどもいたというのですから、豪華な顔ぶれが揃っていたものですね。前にも書いたことありますが、金は集まるところに集まると言いますが、人も集まるところには集まるんですねー。
そうなると、ギタリストであるピートやリッチー達は、ジムにギターアンプを店で取り扱うことをリクエストするようになります。それで、そのリクエストに応えた形で、ジムはフェンダー製アンプを販売し始めるのですが、アメリカからイギリスに輸入して販売する形でしたので、非常に高価なものとなってしまい、売れ行きは良くありませんでした。

しかも当時のアンプはしょっちゅう壊れました。ジムは壊れたアンプを何度も修理するうち、「こんだけ修理してたら、自分で作ったほうが早いんじゃね?」と思いつき、自らアンプの製作に乗り出します。そして、1962年にフェンダー製ベースマンをモデルにして最初の自社製作アンプ「JTM45」を開発し、これによりアンプメーカーとして注目されることになります。
マーシャル・スタック
そして1965年、ピート・タウンゼントはジムに「出力100Wで12インチのスピーカーを8個装備したギターアンプ」を発注します。(結構なムチャ振りw)しかし、これはかなり大きな筐体になるため運搬に支障が出てしまい、結局スピーカー4個の筐体を2個兼ねる形になります。
(・・・運搬に支障がでた・・・なんだか元ドリフターズの荒井注さんのカラオケ店を思い出しました。あれも、機材が扉から入らなくて、開店すらできずに潰れてしまったんですよねw)
よくテレビやライブ会場で見かける、マーシャルのアンプキャビネットを2段重ねにし、その上にヘッドアンプを置く3段積みのスタイルがこの時に誕生したのです。このスタイルは「マーシャル・スタック」と呼ばれ、見た目的にもスピーカが壁の様にそびえ立っていて、迫力があってカッコイイことから現在ではマーシャルのトレードマークとなっています。

なお、このマーシャル・スタック型アンプが一般に発売された際、ヘッドアンプには「1959」という機種が採用されたのですが、この1959はその後のロックンロール史を語る上で、重要なポジションを占めるようになります。
多くのアーティストが使用
まず1959の使用アーティストとして筆頭に挙げられるのが、かのジミヘン。彼がマーシャルアンプを使用し始めた理由がなかなか面白い。ジミヘンの本名は、ジェームズ・マーシャル・ヘンドリックスというのですが、ジム・マーシャルの本名も、ジェームズ・チャールズ・マーシャル。たまたま名前が似ていたから、使ってみようと思ったらしいのです。(笑)
ジミヘン以外にも、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、アンガス・ヤング、エディ・ヴァン・ヘイレン、イングヴェイ・マルムスティーンなどなど、使用アーティストを数え上げたらキリがありません。つまり私たちがこれまで耳にしてきたエレキギターのサウンドの多くは、1959のサウンドでもあったのです。
その後もマーシャルは、エリック・クラプトンがジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズで使用した「1962」、200Wの大出力を誇りリッチー・ブラックモアが使用したことで有名なMajor(型番1962、愛称「Pig」)など、歴史に残るアンプを次々と生み出します。そして1981年には、伝説的名機であるJCM800をリリースします。

値下げがきっかけで大ヒット
JCM800を発表する前のマーシャル社は、ローズ・モーリス社と販売代理店契約を結んでいたのですが、外国へ輸出する際にローズ社がかなりのマージンを取っていたらしく、イギリス国外でのマーシャルアンプは非常に高価でした。この為マーシャルアンプは、多くのギタリストにとって、手の出ない高嶺の花だったのです。
(ちなみに、ローズ社がどれくらいピンハ・・・マージンを取っていたかと言うと、なんと55%!これって単純計算で価格が1.5倍以上になるってことです。しかも、国によって違うでしょうが、さらに関税とかも上乗せされるって考えたら、そら高くなるはずですわ。)
しかし、1981年にローズ社との代理店契約が切れ、このタイミングで発売されたJCM800は価格的にグッと下がりました。高嶺の花が一気に身近な存在となり、JCM800は大人気機種となります。
その後、後継機種のJCM900、JCM2000も大ヒット商品となり、特にJCM2000はスタジオに行くと必ずと言っていいほど置かれている超定番品となりました。エレキギターを弾く人なら、このJCM2000とローランドのJC-120には必ずお世話になっているはずです。
王道の歪みサウンド
さて、その肝心のサウンドですが、マーシャルと言えば歪み。歪みに関しては、お手本であり王道です。普通、ディストーションのような歪みサウンドは、歪ませれば歪ませるほど音が細かくなり、ヌケが悪くなると言われていますが、マーシャル・アンプのディストーション・サウンドはどのモデルも太く、ヌケがよいのが特徴です。

現在のフラッグシップ・モデルはJVMシリーズ
超定番アンプと言われたJCM2000は2007年に生産が終了していますが、その後をJVMシリーズが引き継いでおり、伝統のサウンドを守りつつさらなる進化を遂げた、フル・バルブ回路・マルチチャンネル仕様、クリーントーンから最強クラスのディストーションサウンドまでカバーする最新アンプに生まれ変わっています。
また、JCM2000の2チャンネル仕様品であったDSL(JCM2000にはDSLとTSL
の二種類があり、TSLは3チャンネル仕様品でした。)も、根強い人気があって復活を望む声が多かったため、2012年からDSLシリーズが後を引き継いでいます。
まさにロックの王道とも言える歴史を持つマーシャルアンプ、ギタリストならぜひ欲しいアンプですね!


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